ヨーヨーマ ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番のCD評

ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番は、今まで聞いたことのある全ての協奏曲の中で個人的に最も好きな協奏曲です。


ショスタコーヴィチ:交響曲第5番/チェロ協奏曲第1番

このCDのメインはバーンスタイン指揮によるショスタコーヴィチの交響曲第5番なんですが、そっちは後日書きます。

チェロ協奏曲の方は、ロストロポーヴィチの録音が最も評価が高いのですが、今回はヨーヨーマの方を取り上げます。
YouTubeでロストロポーヴィチの古い録音がありますが、若々しい印象でヨーヨーマの演奏に似てます。
ヨーヨーマはこれを参考にしたのかなという気もします。
Concierto Para Cello de Shostakovich Nº1 en E b Mayor

端正な演奏をするイメージのヨーヨーマが、ポルタメントを多用して意外に情熱的な演奏をしてます。
ポルタメントの多用はキザとか悪趣味とされますが、この曲についてはかなり情熱的な印象を強めるのに寄与していると感じます。
ユージン・オーマンディとフィラデルフィア管も脇役に徹している感じで、オーケストラのバランスが良く、ヨーヨーマにばっちり合わせてます。
現状では一番好きな録音です。

チェリビダッケ&RAI ムソルグスキー展覧会の絵CD

チェリビダッケがRAI国立交響楽団を振ったときの古い録音。
私はこの時代のチェリビダッケを知らないので、試しに聞いてみただけです。

目当ては展覧会の絵だったのですが、プロコフィエフの交響曲第5番も入ってます。こっちは興味ないので割愛します。

モノラルで音質が悪く、所々金管が暴発してます。
演奏後に拍手が入ってるので、ライブ録音みたいです。
若干遅めな曲もありますが、普通の演奏でした。
違和感があるのは、ブイドロのテンポが早めで、勇ましさを感じてしまうというところくらいです。


Prokofiev/Mussorgsky: Symphony

アンドレイガブリーロフ バッハ ゴルトベルク変奏曲CD

ゴルトベルク変奏曲はとても好きな曲で、チェンバロよりもピアノの音色のほうが好みなのでピアノによるゴルトベルク変奏曲は何枚も持ってます。
ピアノでのバッハはグレン・グールドが圧倒的に有名で、もちろんあとで取り上げますが、今回はマイナーな方から。

アンドレイガブリーロフはロシア人ピアニストで、国内知名度は低いと思います。
元は指が早く回るタイプのピアニストで、ラフマニノフの協奏曲なんかも高速で弾いてます。

ドイツ・グラモフォンに移籍してから、バッハのゴルトベルク変奏曲を収録。
ガブリーロフはそれまではバッハにあまり関心が無かったと思うのですが、とにかく移籍をきっかけにこのCDが生まれたのだから、私にとっては良かったと思ってます。

基本的にスタッカートを多用する点描タイプで、アンドラーシュ・シフの旧演奏に似てますが、部分的に刺すようなアクセントをつけてるので、その意味ではグレン・グールドにも似てます。
繰り返しを全て演奏し、繰り返しでは音量を変えたりペダルを踏んだり、装飾音は基本的には楽譜の指示のままですが、一部の装飾を変えたりと工夫しています。
要所でペダルを踏むので、初期ロマン派の音楽のようにも聞こえます。
テンポはそれぞれの曲の様式に合わせてるので、30曲の変奏に統一感はありません。
ただし一部の曲は(第13変奏など)は様式を無視して快速。この意図はちょっとわからないです。
アリアは最初と最後、どちらも穏やかな感じ。どちらも4分48秒で同じ長さなので、本当に収録したのかなという気もします。


バッハ:ゴルトベルク変奏曲

アファナシエフ ムソルグスキー展覧会の絵CD

個人的にはピアノの展覧会の絵の中で一番好きな演奏です。
遅いというイメージのアファナシエフの展覧会の絵ですが、全体的には言うほど遅くはないです。
アファナシエフは内声をはっきり聞かせるタイプで、この演奏も同様。
グレン・グールドのような点描的にスタッカートを多用し、妙な間を開けて音を明確に区切ったりしてますが、その意味はよくわかりません。
一見、学生が遅いテンポで練習しているかのようにも聞こえます。
ただ、そういう区切り方が正しいように感じます。
何かをイメージさせようとするのではなく、楽曲の構造を際立たせたいのかなという印象です。

1曲目の小人は明らかに遅いです。
最後のトリルはあまり上手くないように感じますが、アファナシエフだと意図的にそうしているかのようにも聞こえてしまいます。
またその後の上昇音型もよく聞くと、ただつなげて弾かずに2つに区切ってるように聞こえます。

2曲目の古城は普通のテンポです。

3曲目のテュイルリーの庭の最初は遅め。
ここも点描的。子どもが遊んでいる様子らしいので、点描的だと小さな子が遊んでいるように聞こえます。

ブイドロも遅いです。
元は「牛車」という意味ですが、ポーランド語で虐げられた人という意味があり、実はポーランドの圧政に苦しむ民衆を描いたらしく、そう考えるとこの曲は重々しい遅いテンポの方が相応しいと思います。
テンポが早いと颯爽とした勇ましい曲に聞こえてしまいます。

卵の殻をつけた雛の踊りは標準的なテンポよりわずかに遅いのですが、点描的。
ただし部分的に妙な間を開けてます。
実際の元絵は人間が殻の着ぐるみを着ているような絵らしいんですけど、本当に小さな卵が踊っているかのように聞こえます。

サミュエルゴールデンベルクとシュミイレも遅めですが、点描的で装飾も綺麗なので金貸しに哀れみを乞うようには聞こえず、激しい雨が降った後の雨だれのように聞こえます。

リモージュの市場は普通のテンポなんですが、点描的。
でも楽譜に全曲に渡ってスタッカートで弾くよう指示があるので、点描的に弾く方が正しいのだと思います。

カタコンベも普通のテンポです。ただしこの曲では妙な間があって、リタルダンドなのか意図的な間なのか区別はつかないです。

バーバ・ヤーガも遅めで点描的で、低音部が重機関車の発車など大きな機械の動作を思わせます。元絵は置物のデザインだそうですが、バーバ・ヤーガ≒魔女が住む家を描いたようには聞こえません。

キエフの大きな門も普通のテンポです。
所々妙な間を開けるのは相変わらず。
このような間は、残念ながら作曲理論は知らないので、私には何か意味ありげな気がするだけです。


ムソルグスキー:展覧会の絵

チェリビダッケ ベートーヴェン交響曲第4番&第5番CD

チェリビダッケとミュンヘン・フィルとのベートーヴェン交響曲第4番と第5番のライブ録音のCD評です。
なぜか拍手の音も収録しています。

遅いことで有名なチェリビダッケですが、この録音のテンポはフルトヴェングラーやクレンペラーなどの往年の巨匠よりもゆったり。
特に第4番は遅いです。
第4番は第1楽章冒頭の静謐さのみが気に入っていてあとは興味ないのですが、チェリビダッケのは不思議と飽きさせないで最後まで聞けます。
遅いものの重厚な響きではなく、綺麗な響きになっています。
特に木管や金管の斉奏から楽器の音量バランスが滑らかに入れ替わるところは、チェリビダッケがよくやる響かせかた。
第5番も遅いけど、巨匠のテンポと同じくらい。
第5番でも木管と金管の音量バランスが見事。
フィナーレも遅いのであまり終わった感はないです。

著作を読むにチェリビダッケの意図は響きの美しさ重視ではないですが、私は美しさを堪能できれば満足という程度の聞き方です。


ベートーヴェン:交響曲第4番&第5番「運命」

ボールト ベートーヴェン交響曲第6番田園 モーツァルト交響曲第41番ジュピターCD

イギリスの指揮者アイドリアン・ボールトとロンドン・フィルのベートーヴェン:交響曲第6番田園を聞いてみたので、CD評を書きます。
某所で褒めているのを読んだので買いましたが、私としては期待ハズレでした。

印象はどちらの交響曲もサヴァリッシュに似てます。
つまり標準的な解釈で、かつ快速気味という感じです。
管弦楽の音量バランスは、突出した楽器が無いようブレンドするタイプで、これも標準的な響きです。
更に第1/第2ヴァイオリンが対向配置で、左右から聞こえます。
楽器が混ざって埋もれないよう配慮しています。

田園もジュピターも比較的快速気味。
どちらも標準的(模範的)な演奏です。
ジュピターは繰り返しをすべて演奏しているので長くなっています。
ジュピターは一部で木管が聞こえず、音量バランスが崩れて模範的演奏の中の傷のように思えますが、意図があるのかもしれません。(この録音でOK出しているわけですから)

とにかく標準的・典型的な演奏でした。
クラシック初心者がこの曲の模範的演奏を知りたいならという感じの演奏です。


Beethoven ベートーヴェン / 交響曲第6番『田園』、他 ボールト&ロンドン・フィル 輸入盤 【CD】

アーノンクール&ヨーロッパ室内管弦楽団 ベートーヴェン 交響曲第5番CD

アーノンクール&ヨーロッパ室内管弦楽団のベートーヴェンの交響曲第5番のCD評です。第6番を紹介したついでです。全体的にはあまりいい演奏だとは思っていません。

例によって古楽奏法で褪せた印象のする音と艶のある音とが交錯する演奏をしてます。
重厚さはなく「運命」のような印象は受けません。

第1楽章の冒頭の主題提示部は最初のフェルマータの方が長めという演奏ですが、意図はわかりません。
古楽オーケストラによくあるテンポの早い演奏ではなく、テンポは普通。
アクセントをつける部分は誇張気味に大きく響かせてます。これは他の曲でもアーノンクールがよくやってます。
第2楽章はせっかく弦楽の内声を浮き上がらせているのに、トゥッティは派手なのがうるさく感じます。ここは穏やかな演奏が聞きたいところなんですけど。
第3楽章は中間部で少しテンポが落ちますが、意図不明です。
第4楽章は随所にアクセントをつけていてビートを感じます。熱く疾走する感じです。パーヴォ・ヤルヴィに似てます。アーノンクールの方が先ですけど。
展開部のラストで弦楽器が管楽器に埋もれてしまってますが、意図不明です。
コーダはピッコロが目立ってます。しかも最後のフェルマータで早々にティンパニが終わり、一番最後まで鳴ってるのがピッコロ。何か意味付けがありそうなんですが、よくわかりません。


【CD】ベートーヴェン:交響曲第5番/アーノンクール [WPCS-21002]

アーノンクール&ヨーロッパ室内管弦楽団 ベートーヴェン 交響曲第6番CD

個人的に好きな指揮者アーノンクールのベートーヴェンの交響曲第6番の録音は、いつもの古楽器奏法をモダン楽器に適用した演奏方法になってます。

所々聞こえるハーモニクス奏法のような虚ろな響きと、一方でモダン楽器の豊かな響きもあるので、初秋を思わせます。
標準的なモダンオーケストラの演奏だと、緑豊かな初夏のイメージなんですけど。

第1楽章~3楽章までは、強音をより誇張して大きく鳴らすというようなアーノンクール節は出てきません。

面白いのは雷雨を描いた第4楽章で、アーノンクールは荒々しい部分を一層荒々しくするという傾向があるんですが、ここでもかなり荒っぽいので、大洪水とか火山の噴火とか神の審判などを連想します。
アーノンクールが嫌いな人はこういう所が嫌いなんでしょうけど、私は面白がって聞くタイプです。


ベートーヴェン:交響曲第6番

ブリュッヘン&18世紀オーケストラのベートーヴェン第九CD

リコーダーの名手ブリュッヘンが私財を投じて結成した古楽器楽団による第九演奏の録音。

18世紀の楽器なので「18世紀の音楽だけ」という信念を持っていたことから、当初はベートーヴェンも「英雄」までと決めていたらしいのですが、結局は全曲収録することに。

テンポは速いけど、強弱のはっきりとした演奏で、内声も緻密。
ロマン派っぽいと言う人も。
重厚さは感じないです。


ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」/ブリュッヘン

ガーディナー&オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティークのベートーヴェン第九CD

オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティーク率いるガーディナーの1992年ロンドン・オール・セインツ教会での第九録音。

古楽器オーケストラだけど、19世紀の過渡的な楽器を使っているそうです。(元は、ベルリオーズの幻想交響曲を演奏するためのオーケストラとして結成されたから)

滑らかで快速。スピーディな第九。
通常70分くらいの全曲が59分で終わるほど。
楽器編成が小規模で楽器の違いが聞き取りやすい。特に木管楽器。
重厚さはありません。

音楽学者ジョナサン・デル・マールが研究中だった成果を取り入れているそうで。
古楽器演奏の第九を初めて聴くならガーディナーが良いかもしれません。


ベートーヴェン:交響曲第9番